PARIS PARIS

あの
C.Lindberg が愛機 Ryan NYP ”Spirit of St.Louis” 号を駆って大西洋横断飛行に挑んだとき、睡魔の果てに目に映った街の夜景を見て、『翼よあれが PARIS の灯だ』と言ったとか言わないとか。

無線通信のモールス符号は、短点と長点の組み合わせで構成されています。しかも、その構成数が一定でないため文字によって符号長が変わってきます。一番短いのが 
”E(へ)”で短点一つ、一番長いのが数字の”0”で長点五つ。つまり、同じ文字数を送信しても、その文字の種類によって通信時間が変わってしまうことになります。

そこで我々アマチュア無線の世界では、
”PARIS” を標準の1単語として通信速度を規定しているようです。
”PARIS PARIS PARIS ...” と送信して、今の通信速度は xx語/分 というふうに。


今回は、
PARIS PARIS ならぬ パリ パリ のお話。

さっと一炙りした海苔にちょっと醤油をつけて、アツアツのゴハンに乗せていただく。海のにおいとパリパリの海苔の食感、それに相対するほのかに甘酸っぱささえ感じさせる白米の香りとモチモチネットリの舌ざわり、絶妙のマッチですな。これぞ日本の朝食の醍醐味の一つではあります。

ところで、皆さんのご幼少の頃の運動会や遠足のお弁当は何だったでしょう?。
はやオマケの人生の領域に突入してしまった私の場合は、海苔を巻いたおにぎりや太巻き寿司が定番でありましたね。
そんな私ですから、ちょっと出先で昼食を調達するときは、大体コンビニエンスストアでおにぎりを求めることになります。

ところが、これがイケナイ。
ほとんどのおにぎりは、海苔を夾んだ包装プラスチックフィルムの中に、具が入った白いままの三角形が鎮座ましましているという状況ですよネ。
私はかつて一度も完璧な形で、この海苔を取り出せたことがありません。大体海苔が途中で破れてしまって、無惨な姿になりはててしまいます。
そして、残された包装プラスチックフィルムが、臨時の食卓の上に散乱するとなれば、これはもう見苦しい限り。

『いったい何で、こんな面倒くさいおにぎりを食べなけりゃいけないんだ。』と、ブツクサ言っていると、
ある人曰く、
『アラ。おにぎりの海苔はパリパリの方がおいしいに決まっているじゃナイ。』

ヲイ、ヲイ。

庶民が海苔を巻いたおにぎりを食べることができるようになったのは明治期以降でしょうから、たいした歴史があるわけではありません。
こんな短い時間の中のちょっとした変化に対して文句を言うのは大人げないかもしれません。それでも文句を言いたい。

海苔の保存に乾燥が要求されるのは、品質保持のため。いざ食べる段になって、パリパリであるか湿っているかはたまたドロドロであるかは、その調理法によるのであって、海苔の旨さの本質にはいささかも影響を及ぼすものではないと思いますがネ。
私は、幼少の頃より食べ続けてきたおにぎりが、海苔がパリパリでないということでマズイと思ったことは、一度もありませんでしたヨ。
第一、直前に炙ったわけでもないのに、いつまでもパリパリなのはアヤシイと思いませんか。

おにぎりとは、
やさしき人の、手ずからにぎられたもの。
と、心得ます。

そんな、握ってくれた人の心のこもったおにぎりが、2時間も3時間もたってパリパリのままであるわけがないじゃないですか。

(実際の処、機械では上手に海苔が巻けない、ということだと思いますがネ。アナタ勘違いしていませんか?。)


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